「写真」を「希望」に、「未来」へつなぐ。

写真で子どもたちに喜びを

片山
 「これはひとつのアイディアなのですが、被災地の子どもたちに写真を撮ることによって喜びを与えてあげるという支援はどうでしょうか? 直接的な生活物資や支援金なども重要ですが、子どもたちには普通に生活ができるようになること以上の楽しみや希望が必要だと思うのです。 例えば、自分の好きなように写真を撮ってきて、定期的にコンテストに出して写真家の先生に評価してもらえたら、うれしいんじゃないか・・・と。 それで褒められたり賞をもらったりすれば、きっと写真を撮ることや自分を表現することにもっと楽しさを見出してもらえるのではないでしょうか。 人の心は3年で折れるといいますが、震災から3年目を迎えたいま、被災地の子どもたちにそういった心の支援も必要だと思っています。」

白鳥会長 
「そうですね。 喜びを与えるというのはすごく重要だと思います。 おっしゃる通り、復興って元に戻っていくことに対する喜びですよね。 それに加えて、人から評価されたり褒められたりすることに対する喜びは、生きていく上でもっと大きな力になるかもしれません。 写真が希望を与える。 片山会長が冒頭におっしゃった、人を救うということは人に希望を与えること・・・、ということが実現できますね。 写真を通して心の復興支援が可能になる片山会長のお考えはとても素晴らしいと思います。」

写真という文化を育てる

片山 
「それと、APAへのご提案なのですが、子ども会員の制度をつくるというのはいかがでしょうか? 未来の広告写真家を育てるということも、APAの役割のひとつであるでしょうから、そこにジャスビコがクラウドファンディング(※インターネット経由で人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと)を導入して協賛させていただくというかたちもあると思います。 子どもたちがAPA会員として、写真を多くの人に発表することを意識しながら撮るとしたら、被写体として子どもたちが選ぶものは、子どもたちが自信を持って誰かに見せたいものであるはずです。 そこには少なからず自分たちの住む地域の人々や、そこに根ざした文化があると思います。 そんな日常の中で感性が磨かれ、被写体に対するコミュニケーションや知識が深まって、未来の広告写真家の豊かな表現力に繋がっていけば良いと思います。 ジャスビコとしては、子ども会員のための写真コンテストや展示会を開催し、集まった寄付金などはAPAを通して子どもたちの育成資金や支援金に充てていただく・・・。 そんなこともできるのではないかと思います。」

白鳥会長 
「よいアイディアだと思います。今までそういう発想はなかったですね。 この対談の前に片山会長が書かれた本を読ませていただき、会長のおっしゃることがすごく納得できて、私と同じ立ち位置で世の中を見ていらっしゃるなと感じていました。 生きていく上での大義が子どもたちにも必要だということですね。」

片山 
「私は阪神淡路大震災を経験したことで、何もかも失った人たちの心を救うにはどうしたらよいのか・・・、 人々に夢や希望を持ってもらえるような世の中にするにはどうすればよいのか・・・、 ということをテーマにこのジャスビコという会社をつくり、生きていく大義を見つけるための道筋をつくりたいと考えました。 その中でいま、写真というツールが非常に有効だと感じています。」

白鳥会長 
「それはとても重要なお話だと思います。 写真をそこまで評価していただき、写真で何が出来るかということを真剣に考えて下さっていることがとてもうれしいです。 APAが協力させていただけることはたくさんあると思いますので、ぜひご一緒にそのアイディアを具現化したいですね。」

片山 
「子ども会員はまず国内からはじめ、その後、写真を使った支援を世界の子どもたちにも広げられるのではないかと思います。 写真に言葉の壁はありませんから、子どもたちが誰かに訴えたいことや世界に発信したいことを、世界中に伝えることもできると思います。 でも、いまはそれを発表する場がない。 世界の子どもたちが見たものを写真として表現できるプラットホームをAPAとジャスビコがつくり、その写真を評価したり、色んな人に見てもらったりという機会を提供する・・・。 子どもたちは表現するという楽しみを知り、自分が生きている喜びを見つけて、少しでも未来に希望を持ってもらえたらすばらしいことだと思います。 そして、この写真というツールをもっと世界に広げてもっと大きな意味のある文化にするためにも、APAのお力をお借りしたいと思っています。 ぜひ、今後ともよろしくお願いします。」

白鳥会長 
「ぜひ実現させたいプランですね。 APAとジャスビコが、どんなご縁になっていくかたいへん楽しみです。」

片山 
「本日は、貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。」