日本の神社を世界に広げるために。

『神社プロジェクト』の始動開始・・・その注目すべき所は。

片山
実は、私たちはいま 『神社プロジェクト』 を推進しています。日本には、現在およそ85,000もの神社があります。 日本全国にある神社は、地域の伝統や文化を伝承している場所です。神社を核に、人々の暮らしが広がっているといっても過言ではないと思います。
私は、地方の特性が神社を中心に育まれ、そこから様々な特産品も生まれたのではないかと考えています。たとえば、日本の神々の中に少彦名命(すくなひこなのみこと)という神様がいらっしゃいます。医薬の神様であると同時に酒造りの神様でもあります。ご存知のように、日本には津々浦々酒蔵があります。つまり、ものづくりの中心に鎮座しているものが神社だったのですね。
この一例からも、人々の暮らしと神社がいかに密接に結びついているかがわかります。私の夢は、神社を中心に日本全体を巨大なテーマパークにすることです。そのテーマは、日本人が古来より大切にしてきた伝統や文化です。

カデロ大使
いやー、おもしろい。日本全体がテーマパークとはまた壮大な構想ですね。キリスト教の世界では、ワインはキリストの血。そして、ワインづくりを広めたのは修道士たちですが、日本では神々が関わっている。

片山
その通りです。日本の神社は、たとえそれが地方の忘れられたような小さな神社であっても、そこに語り継がれている話は実におもしろいですよ。これは、日本を訪れる海外からの観光客にも絶対に魅力的なはずです。そんな訳で『神社プロジェクト』を推し進めています。

カデロ大使
会長のそのお考えは、素晴らしいと思います。私は、神道には包み込まれるようなしなやかさを感じます。残念ながら、私たちのキリスト教社会は多くの戦を繰り返してきました。私は、神道の持つ寛容の精神に憧れがあります。私が、サンマリノに神社を建てた理由のひとつは、神道は必ず平和に貢献できると信じているからです。

片山
神道を深くご理解いただいている大使には敬服します。私は、日本人は森羅万象に神が存在することを心で感じていると思うのです。神はすなわち命であり、だから「命」と書いて「みこと」と読む、そんな日本人の心の機微、さらに「和を重んじる」「おもいやり」「おもてなし」「秩序を守る」など日本人が大切にしている精神文化の根底に神道があると思っています。

カデロ大使
八百万神(やおよろずのかみ)ですからね…。たくさんの神様がいるのは自然なことかも知れませんね。私は、神道を勉強してからすごく気持ちが穏やかになりました。神道ではあらゆるものが神様です。唯一絶対の神は心の拠り所になることは確かです。
私は、キリスト教と神道のいいところ取りをしていますね。こんな柔軟な心情になれたのは、間違いなく神道のおかげです。

片山
私は、神道は宗教というよりも、字のごとく人として生きるための道であり知恵だと思っています。

カデロ大使
私もそう思います。海外からの観光客が日本の神社に惹かれるのは、それが単なる宗教施設ではないからですね。